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事業計画

1-4-1事業計画の概要

収入予測

〈保険診療収入=一日あたり外来患者数×1人一日当たりの診療単価×年間稼働日数〉

  • 一日当たり外来患者数・・・診療圏調査で算出した見込患者数
  • 1人一日当たりの診療単価・・・診療科目、診療内容、院内・院外処方によりかなりの幅があります。例えば、内科の院外処方の無床診療所であれば、5,000円前後というところでしょう。

※診療収入の要は、患者数と診療日数です。患者の立場になってもう一度立地を検討しましょう。
※保険診療収入は窓口収入を除いては、2ヶ月後の入金になりますのでその分の運転資金が必要になります。

〈自由診療収入〉・・・計算根拠

収入計画の中で重要なのは患者数が何人見込めるのか(需要予測)です。そのために開業立地は、重要なファクターです。地価が安い、前から持っているからでは開業後十分な収入を見込めません。十分に検討してから決定する必要があります。

○診療科別の診療圏

診療圏区分

第一次診療圏

第二次診療圏

第三次診療圏

60%以上の患者が来る地域

20%以上の患者が来る地域

それ以外の患者が来る地域

クリニック

診療所

半径500m以内

徒歩10分以内

半径1km以内

徒歩20以内

交通機関利用

半径1,5km以内

大都市中心部

地方都市郡部


診療科

ポイント

診療圏の目安

内科

競合も多いが、ニーズも多い、循環器、呼吸器、消化器という標榜区別に患者の認識が薄い。 専門性を全面に打ち出す場合、立ち上がりに数年かかる。

診療圏の広さは1kmと見てよい。

整形外科

高齢化社会に向けてニーズが拡大。リハビリ施設基準のOT、PTの採用が難しい。専門性を打ち出したスポーツ整形の展開もみられる。

競合医院の数にもよるがし診療圏の広さは3kmまで見てよい。

小児科

産科同様出生率の低下から子供の数の減少により患者数が見込めない。いつでも診てくれるという評判により患者の掘り起こしが可能であるが、ビル診は不向き。

一般的な小児科では500mであり、専門性によっては診療圏が拡大します。

※留意点

  • ・診療科によっては立地条件が異なるので、専門家の意見を聞きましょう。
  • ・新興住宅地や団地などは夜間人口と昼間人口が異なるので、診療時間帯に配慮が必要です。
  • ・立地条件は変化するので都市計画などの資料で事前調査が必要となります。

費用予測

・変動費計画(薬品費、医療消耗品費、委託費)

・経費計画(人件費、リース料、減価償却費、租税公課、地代家賃、その他経費、開業費、支払利息)

設備投資計画

 

資金調達計画

A.設備資金

  1. 不動産関係(土地・建物等)、内装など
    土地の取得価格は購入費用を含めると土地本体価格の110〜120%。建物の場合は、本体価格の120〜130%程度を見込んでおく必要があります。
  2. 医療機器、備品類等
    購入でもリースでも、見積もりは一社だけに限定せず、価格以外の条件面も 考慮に入れて判断することが必要です。

B.運転資金

  1. 開業準備資金
    業務用システムの購入、医師会入会金、広告宣伝費、薬品材料費、その他。
  2. 開業後の運転資金
    診療報酬が開業後2ヶ月間は払い込まれないことに加え、開業当初は患者数が少なく赤字となることがあるので、各月の支出(人件費等)と生活費のおよそ3〜4ヶ月分程度を確保しておくことが好ましいと言われています。


1-4-2 損益計算・資金収支計画

 @の収入、資金支出をもとに計算した開業後3年〜5年の具体的な数字を表に落とし込み、損益計画では医業利益を、資金収支計画では支払資金残高(繰越金額)を算出します。この際、@の前提条件を変えることで計画を何パターンか作成し、経営方針と金融機関からの資金調達との兼ね合いにより、どのパターンを選択するか吟味し決定します。

【開業クリニックの計画事例】 前提条件:

  • 郊外の借地に診療所建物を建築(自宅別)。
  • 内科・院外処方。診療日数288日(月平均24日)
  • 従業員は正看護士1名、准看護士2名、事務パート2名、専従者1名。
  • 3年目に准看護士1名追加。

《計算の基礎》

○医業原価

  • 院外処方
  • 薬品費比率
  • 診療材料費比率
  • 委託費比率

○人員計画

  • 医師1人生活費として
  • 初年度  月600千円 A2年度 月700千円 B3年度 月800千円
  • 看護師  准看2名 200千円×15.5ヶ月×2人=6,200千円
  • 事務員  2名 170千円×15.5ヶ月×2人=5,270千円
  • 専従者  200千円×15.5ヶ月=3,100千円    計14,570千円

○諸経費

  • ・人件費
  • 初年度 10,850千円
  • 2年度 2%UP
  • 2年度 2%UPと准看1人採用 3,100千円

[損益計画] (単位:千円)

初年度

2年度

3年度

医業収入

44,352

57,024

69,696

(患者数)

(35)

(45)

(55)

(診療単価)

(4,400)

(4,400)

(4,400)

医業原価

4,879

6,273

7,667

医業純利益

39,473

50,751

62,029

医業経費

人件費

14,570

15,008

18,409

リース料

4,800

4,800

4,800

減価償却費

7,923

6,892

6,092

地代家賃

2,160

2,160

2,160

支払利息

1,905

1,835

1,765

その他経費

8,400

8,484

8,568

開業費

3,000

-

-

42,758

39,179

41,794

医業利益

-3,285

11,572

20,235


[資金収支計画] (単位:千円)

初年度

2年度

3年度

備考

前年度繰越

-

@8,146

A14,851

 

自己資金

7,000

-

-

 

医業利益

-3,285

11,572

20,235

 

減価償却費

7,923

6,892

6,092

 

借入金

80,000

-

-

 

設備代金

-70,000

-

-

借入金返済

-3,292

-3,359

-3,427

税金

0

0

-4,363

前年分

生活費

-7,200

-8,400

-9,600

医師会入会費

-3,000

-

-

次年度繰越

@8,146

A14,851

B23,788

※前提条件が異なれば当然結果も異なりますので、自院開業においてこの損益計画と資金計画をしっかりと立てるとともに、どのパターンを選択するかは院長先生の経営方針と金融機関からの資金調達との兼ね合いにより決定することになります。


1-4-3 資金繰りキャッシュフロー

 事業計画の策定後は、その必要資金の調達方法を考えなくてはなりません。
事業計画書を作成することにより、開業時に必要な資金が算定されますので、この開業必要資金を支出区分別に整理し把握しておくとよいでしょう。

    これらの中で、資金繰り(キャッシュフロー)は非常に重要です。一般的に使用される収入予測と費用予測のみでは、例えば減価償却費など、実際には支出を伴わないにもかかわらず経費で計上されていたり、あるいは保険収入も売上は立っているが実際の入金の多くは2ヶ月遅れでしか入金されなかったりと、実態の現金の流れとの間に差異が生じてしまいます。資金繰り(キャッシュフロー)はこれを補正し、実際のお金の流れを示しています。資金繰り(キャッシュフロー)に気をつけることによって、経営を安定させ、開業後数ヶ月の赤字資金を補うために準備した立ち上げ資金が、開業後、実際にどのように増減変動し、資金ショートを起こさずに十分に足りるものかどうかを確認することができます。